しじみってどんな生物なの?

しじみとは

しじみは、しじみ科の二枚貝。日本にはセタシジミ、マシジミ、ヤマトシジミと3種類が生息していますが、ほとんどがヤマトシジミ。もちろん、宍道湖産のしじみもヤマトシジミ。全国の沿岸の河口(汽水域)や汽水湖に生息し、殻長は大きなもので4cm、雌雄異体で卵生。殻表外面は黒褐色の殻皮を被り、内面は淡紫色。産卵期は春~夏。面が縮んだようなので「ちぢみ・しじみ」となったといわれていますが、定かではありません。

 

しじみの生態

しじみの食べ物

主に植物性プランクトンを餌として摂取しています。水と一緒に吸い込み、えらでプランクトンをこして残りを吐き出します。

水管をのばし、水を取り込む様子

水管には、入水管と出水管があります。しじみの浄水能力はとても大きく、宍道湖の水を3日間で浄水する程というデータもあります。

足を動かし、移動中

殻の縁から「舌」のように出ているのは実は、しじみの「足」なのです。この足を器用に踏ん張ったり伸ばしたりして少しずつ移動します。

砂を吐き出す様子

しじみは、湖底の土の中に潜って生息しています。このため、貝は砂を噛んでいることが多いのですが、中にはかなり砂を持つものもあります。

しじみの身(4月中旬)

しじみは、7月から8月にかけて産卵します。春先(4月~6月)のしじみは産卵前で、身が殻いっぱいに大きく広がり、美味しい時期です。

しじみの繁殖

ヤマトシジミには雌と雄があり、雌は卵を、雄は精子をそれぞれ出水管から放出し、水中で受精します。産卵期間は水域により、またその年の水温によっても多少異なりますが、概ね8月を中心に7月~9月が産卵期となります。また、ヤマトシジミの卵は、浸透圧の関係により、淡水中では吸水してしまい受精することができません。また、海水中では逆に卵の水分が流出し受精不可能となります。受精に最も適した塩分濃度は、海水の約6分の1程度(0.5%)いわれています。
(参考文献:『日本のシジミ漁業』中村幹雄氏)

しじみの見た目

殻の色

「しじみは黒い色」なんて思い込んでいませんか?実はしじみは生活環境によって、とてもカラフルな色になるんです。

生息している土壌の質によっての違い

黒玉

(きめ細かい黒泥地)

黄玉

(砂地)

茶玉

(砂れき地)

殻先だけ黄色くなった貝

緑色っぽく見える茶玉

すじが入っている貝

殻の形

形も生息している場所によって違いが見られます。どの貝も宍道湖に生息しているものですが、形の違いは土壌の影響により、水の流れや塩分濃度の濃淡の違いが関係していると思われます。

 

多くの貝類は、たとえば“アサリは海水に”、“タニシは淡水に”といったように、ほとんど水環境(塩分濃度)が変化しない水域に生息しています。また、同じしじみでもセタシジミは琵琶湖に、マシジミは河川にしか生息していません。それに比べヤマトシジミは、海水と淡水が混じり合う“汽水域”に生息しているため多少の塩分濃度変化には影響を受けにくいという特徴があります。汽水域は海水が遡流できる湖であったり、潮が混じる河川河口部であったりするため、時間帯や時期によって塩分濃度が変化することがしばしばあるのです。あまり長期間というわけにはまいりませんが、ヤマトシジミは真水に浸かっても海水に浸かっても耐えられる体をしているのです。
塩分濃度が変化(上昇)すると、しじみの体に“浸透圧(※1)”という圧力が加わります。そのままでは体から水分が流れ出てしまう(※2)ので、ヤマトシジミは体内でグリコーゲンを分解しエキス量を増やして調整することができるのです。このためヤマトシジミは、塩分が無い淡水にも塩分が濃い海水にも適応できるのです。

 

※1.濃度を一定に保つため、水分が多い方から少ない方へ移動する圧力。
※2.塩分濃度が濃いということは塩の量だけ水分量が少ないということ。この場合、一定量当たりではしじみの体内の方が湖水に比べ水分量が多いという計算になる。

 

塩水の場合

塩分濃度が同じになるためには、上図の場合、膜の隙間より小さな水の分子が移動することになります。水の分子が移動することでほぼ同じ塩分濃度になるのです。この浸透圧の作用を利用して、「数の子」の塩抜きなどをご家庭でもされているのです。

ヤマトシジミは、水域の水温や塩分濃度の変化で潜ったり上ったりします。汽水域(宍道湖および周辺の河川河口部)の底の土壌のな

かに生息しているため、湖水の影響を大きく受けます。水温が低下する冬季には深く潜り、上昇する春・夏・秋期には比較的浅い部分に生息します。また、場所によっては塩分が濃い水が入ってくると一時的に深く潜ることも確認されています。しじみから時折出ている白い舌のように見えるもの。実はこれが“足”で、移動に使われる部分なのです。

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