しじみってどうやって漁獲するの?
漁師さんの道具を拝見
しじみ漁にはいったいどんな道具が必要なのか?漁師歴34年のベテラン漁師さんにお話を伺いました! どれもしじみ漁にはかかせない物ばかりです。しかし、何と言っても一番なのは『人』。ご家族全員が健康で生き生きと働かれている事で、しじみ漁が成り立っているのです。「しじみ漁を通じて、宍道湖と共に生活してきたことに感謝して、宍道湖を自然の姿に戻すことをしていきたいと思っています。」取材の最後に漁師さんが力強くおっしゃっておられました。
船まずは船。これがないと漁には出られません。今回見せて頂いた船は、手入れが行き届いていてとてもピカピカでした。 |
鋤簾(じょれん)これで湖底のしじみを掻いて漁獲します。大きいものだと40kgにもなるんですって! |
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選別機船の上に設置してある選別機。漁獲したしじみを選別します。小さな貝は、また湖に戻します。 |
コンテナ1回の出漁でコンテナ2個分(約90kg)しか漁獲してはいけません。そして、採り過ぎないように木の蓋をして漁を終えるように定められています。 |
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桟橋の選別機桟橋に戻りご家族の方も総出で選別をされます。しじみが乾燥しないようにポンプで湖水をくみ上げ、シャワーのように出しながら選別されます。 |
選別用ふるい作業場の選別用ふるい。ここでもご家族協力しあってしじみを水に浸けながら作業を行います。 |
漁業組合の操業規則
宍道湖における「しじみ」の年間漁獲量は、昭和51年~62年頃では約11,000~12,000t/年の水揚げ量がありましたが、平成元年~9年にかけて約7,000~8,000t/年にまで減少しました。平成2年より漁業組合の規制のもと、資源の保護管理をするため、操業時間・休漁日の設定を変更(下表参照)されました。平成9年より漁師さん1人あたりの漁獲量をコンテナ2個(下表参照)までと定めました。この結果、平成10年~13年にかけては約6,000~7,000t/年の漁獲量が平均的となり、平成14年~22年には環境とのバランスにより、年々漁獲量が少なくなり、近年では約3,000~3,500tでしたが、平成24年の調査報告では、約2,200tと、島根県水産技術センターより報告いただいております。
採捕量の自主規制 |
操業時間の自主規制 | 休漁日の設定 | |
S50年 | 400kg | ||
S53年 | ▼ | 午前中のみ操業 | |
S57年 | ▼ | ▼ | 第1・3土曜日は休漁 |
H01年 | ▼ | 午前中3~4時間操業 | ▼ |
H02年 | ▼ | ▼ | 水・土・日は休漁 |
H04年 | 100kg以内 | ▼ | ▼ |
H09年 | コンテナ2個以内(100kg) | ▼ | ▼ |
H16年 | コンテナ1個半(約80kg) | ▼ | ▼ |
H20年 | コンテナ1個(約60~70kg) | 午前中3~3時間半操業 |
水・土に湖底清掃(日は休漁) |
H23年 | コンテナ2個(約90kg) | 午前中3~4時間操業 | 火・水・土・日 |
H26年 | コンテナ2個(約90kg) | 午前中3~4時間操業 | 水・土・日 |
漁協が設置している採苗機(さいびょうき)
ヤマトシジミの卵は水中で受精します。受精後の卵は、水の流れに漂いながらやがて(1週間後)付近の土壌に着床し成長し始めます。この時に重要なのが、その場所の土壌がしじみの成長に適しているかどうかなのです。宍道湖の場合、“湖棚”と呼ばれる岸から数百メートルの深さ0.5~4mぐらいの部分の土壌は砂やレキなどが混じり、比較的水や酸素が通しやすくしじみの生息に適したものとなっていますが、中心部に近づくほど流れによって堆積した微小な土壌や有機物がヘドロ化しており、しじみがほとんど生息できない状態になっています。この中心部を漂う卵を別の場所に移動させるために、漁協は水中に“採苗器”を設置しています。